のれん生地にも用いられている防水10号帆布は、独特の色合いを
もつ染色とパラフィン加工による表面の風合い、さらに撥水加工を
するためにロウが引かれており、他の生地には無い色と風合いを
持っているのが特徴です。
それとトレードオフになる形で生地の表面には細かな凹凸があることから汚れが付着しやすい傾向にあり、お手入れ方法は少しでも汚れがあれば早めに乾いた布や柔らかいブラシで落とすのが大切です。もしも強く擦ってしまった場合は色落ちしたり、ロウを剥離させて撥水加工を失わせてしまう原因になることがあります。
のれん生地であるからには屋外で雨や風に晒されるなど過酷な環境で使用することも多いですが、しつこい汚れはなかなか
落ちにくいのも確かです。
のれん生地としての耐久性が高い一方で表面の加工は比較的
デリケートで、パラフィン加工やロウは傷つきやすいですが、
それらを味わいや経年変化として楽しみ、まるで革製品のように
長く使うほど違った表情を見せてくれます。
店頭に設置する目的で使用している場合はお店の歴史と共に
のれんも成長した姿を見せ、通りすがりの人々に店名や提供
しているサービスをアピールできます。
しつこい汚れを落とす最後の手段
前述のようにのれん生地の防水10号帆布の表面はデリケートなこと
から、汚れが付着した場合は早期に拭き取るのが賢明です。しかし、
屋外に設置するなどした場合にはしつこい汚れが付着することも避け
られません。
もしも洗濯した場合には独特の風合いが損なわれてしまうので、可能な
限り行わないようにします。中性洗剤を薄めて柔らかい布でやさしく拭き
取り、乾燥機は決して使用せず、通気性の良い場所で日陰干しして独特の
風合いをできるだけ残すようにします。
それでも汚れを取るのが難しい場合は、
中性洗剤で手洗いをするのがおすすめ
です。手洗いであっても色落ちやパラフィン
加工が損なわれてしまいますが、その一方で
新たな風合いが顔を見せてくれます。
パラフィン加工が取れてしまうことでハリが
無くなりますが、生地全体が柔らかくなります。
防水10号帆布を選ぶからには独特の色合いや風合いを求めているからこそであり、
お手入れによってそれが損なわれるのは当初の目的を失ってしまうと思ってしまい
がちですが、それらを覚悟したうえで拭き取りや手洗いを行った先には、進化した
姿を見ることができます。汚れを綺麗に落とせる上にリニューアルができ、新たな
訴求力を持たせることができます。